2016年6月9日、カリフォルニア州の終末期選択法(以下「本法」)が施行される。本法は、末期疾患に苦しむ成人でその他の要件を満たす者が、自らの生命を終わらせる目的で処方される可能性のある安楽死薬を請求することを認めるものである。 カリフォルニア州は、死の援助に関する法律を制定した5番目の州となる。オレゴン州、ワシントン州、モンタナ州、バーモント州でも同様の法律が施行されている。
主な要件と考慮事項:- 安楽死薬の自己投与:安楽死薬の準備には他者が関与する場合があるが、患者自身が安楽死薬を投与しなければならない。
- 主治医の責任:患者の主治医は、安楽死補助薬の処方箋を発行する前に、本法の条件が満たされていることを確認する義務を負う。本法への参加は任意であり、主治医は患者の安楽死補助薬の要求に応じる義務はない。 主治医が患者の安楽死薬取得を支援することを選択した場合、主治医は、要請を行う患者が本法に定められた要件を満たす適格者であり、かつ医療上の意思決定能力を有しているかどうかを判断しなければならない。 患者に精神障害の兆候がある場合、主治医は精神保健専門医による評価を依頼しなければならない。さらに主治医は、患者の診断と予後の医学的確認、および医療決定能力の有無を判断するため、患者を相談医に紹介しなければならない。
- 書類提出要件:本法に基づき、患者は安楽死薬の投与について、最低15日間隔を空けて2回の口頭による要請と、担当医師への書面による要請を提出しなければならない。 主治医は患者から提出された要請関連書類を審査し、本法への準拠を示す追加書類を作成しなければならない。カリフォルニア州公衆衛生局及びカリフォルニア州医療委員会は、所定の書式を各ウェブサイトで公開することが期待される。本法は患者の医療記録に記載すべき情報を規定している。
- オプトアウト:免許を有する病院や介護施設を含む特定の医療提供者は、その従業員、独立請負業者、その他の個人または団体に対し、当該医療提供者が所有または管理・直接支配する施設内において、あるいは当該医療提供者との雇用関係または契約の範囲内で活動する際に、本法に基づく活動への参加を禁止することができる。 医療提供者が本法に基づく参加を禁止することを選択した場合、当該方針について従業員、独立契約者、その他の個人または団体に書面による通知を提供しなければならない。
医療提供者が本法に基づく参加を禁止することを選択した場合であっても、その従業員、独立請負業者、その他の個人または団体が以下の行為を行うことを禁止してはならない:患者が末期疾患であるかどうかの診断; 患者に医学的予後を伝えること、または患者が意思決定能力を有するか否かを判断すること;患者に対し本法に関する情報を提供すること;または患者の要請に基づき、本法で認められた活動に参加する目的で他の医療提供者への紹介を提供すること。 さらに、医療提供者は、自らが所有・管理・支配していない施設内において、または当該医療提供者の従業員もしくは独立請負業者としての職務範囲外において、従業員、独立請負業者、その他の個人または団体が本法に基づく活動に参加することを禁止してはならない。
- 免責事項:本法は、本法に準拠して行われる行為に参加する医療提供者が、本法で認められた行為への参加に関連して、民事・刑事・行政・懲戒・雇用・資格認定・専門職懲戒・契約上の責任、または医療スタッフによる措置、制裁、罰則その他の責任を問われないことを規定する。 加えて、個人が、患者が安楽死薬を自己投与する際に同席していたという理由のみによって、民事または刑事上の罰則の対象となることはない。
医師及び医療施設は、6月9日の施行日までに本法の要件を熟知し、患者からの本法に基づく選択肢に関する問い合わせや要請に対応できるようにすべきである。 本法で認められた活動に従事することを従業員、独立契約者、その他の医療提供者に許可する認可医療施設は、安楽死薬の請求が本法に準拠して処理されることを保証するための方針と手順を制定すべきである。認可医療施設が本法の適用除外を選択する場合、当該施設はその決定について従業員、独立契約者、その他の医療提供者に通知しなければならない。