地球規模の気候変動問題は、経済のあらゆる側面においてますます重要性を増している。航空・海運業界は、二酸化炭素排出量削減を目指す世界的な動きの中で、様々な規制に直面している。本稿では、現行の世界的な規制の概要を提示するとともに、今後導入が予想される規制について報告する。
海運業は世界規模の産業である。国際海上輸送は世界貿易の約90%を担っており、世界経済の機能に不可欠である。2000年から2007年にかけて、世界の商品輸出量(トン数ベース)は年平均5.5%増加した(世界GDPのほぼ2倍の速度)。この貿易量の80%以上が船舶によって輸送されている。 しかし、その重要性の根源である規模の大きさゆえに、海運業界は同時に汚染物質排出の主要な要因でもある。世界貿易の本質的な変化がない限り、海運業界は拡大を続け、汚染物質排出の管理はますます重要性を増すばかりである。
海運貿易による温室効果ガス排出量削減には、いくつかのアプローチが考えられる。国際レベルでは、海運業界は既に国連機関である国際海事機関(IMO)が定めた措置を通じて、二酸化炭素排出量削減を義務付ける法的拘束力のある国際協定の対象となっている唯一の産業部門である。これらの措置はこれまで、大幅な排出量削減に貢献してきた。 IMOによれば、2012年の世界の海運による温室効果ガス(GHG)排出量は世界全体の約2.2%に留まり、2007年の2.8%から減少した。同期間における海運全体の排出量は10%減少している。しかし、この進捗が今後も継続すると予測されているわけではない。 現行政策下では、IMOは2050年までに海運のCO2排出量が50%から250%増加し、世界全体の排出量の驚異的な6%から14%を占める可能性があると予測している。100ギガトンを超える世界の外航商船船隊は104,000隻以上を数え、この数が減少する理由は見当たらない。