今や世界的な自動車部品供給不足は周知の事実だ。パンデミックによる供給制約と世界的な半導体不足の影響が重なり、在庫は縮小している。6月の販売台数は新車販売に深刻な影響を受け、前年同月比14%減となった。
一方で、自動車メーカーは新車の利益率が急上昇している。供給不足と需要の高まりにより、新車の値引き幅は限定的だ。フォードは第2四半期に黒字を計上し、通期業績見通しを上方修正した。フォーブス誌によれば、少なくともある自動車グループでは前年比41%増の「フロントエンド・イールド」を記録した。 在庫は逆に過去最低水準まで落ち込み、多くのディーラーではわずか数週間分、7月上旬の全国平均でも25日分しか残っていない。トヨタは激動の市場環境を活かし、他社より安定した半導体供給を確保。第2四半期の米国販売台数で初めて首位を獲得した。
マイクロチップ不足が緩和され、サプライチェーンが回復する時期については、予測が分かれている。フォードは第3四半期に緩和されると予測しているが、他の予測では不足は2021年後半に緩和されるものの、2022年を通じて続くとしている。
専門家らは今、新たな逼迫の兆しとしてバッテリー不足に警鐘を鳴らしている。ドイツ自動車研究センター(CAR)は、マイクロチップ不足が緩和される一方で、2022年から電気自動車向けバッテリーの不足が生じると予測している。 CARの予測によれば、この電池不足により2022年から2030年にかけて約1900万台分の販売が抑制される見込みだ。この予測される供給制約は、自動車メーカーが再び供給確保と部品備蓄をめぐる駆け引きを繰り広げる事態を招きかねない。パンデミックと半導体不足の教訓を踏まえ、自動車メーカーが供給制約への対応力を高めていることを願うばかりである。