最近、米国食品医薬品局(FDA)は、データ完全性に関する重大な懸念から、シンクロン・リサーチ・サービス(Synchron)またはパネクセル・クリニカル・ラボ(Panexcell)が実施した臨床試験および生物学的分析試験を再実施するよう、複数の製薬企業に通達した。 このデータ問題の発端は、2019年に実施されたこれら2つのインド系臨床研究機関(CRO)の施設査察、および複数の医薬品申請書に提出された両CROで生成された試験データのFDA分析結果にある。
FDAは業界向け通知において、「重大な不正行為及び連邦規制違反事例を確認した。これによりFDAに無効な研究データが提出された」と述べた。 さらにFDAは、これら2つのCROで生物学的同等性試験および生物学的利用能試験を実施した製薬企業に対し、承認に不可欠な試験については再実施が必要であると通知した。この措置は、FDAにより承認済み、仮承認済み、または現在審査中の医薬品を有する全ての製薬企業に適用される。
FDAはPanexcell社宛ての「無題書簡」において、「貴社が上記研究を実施した手法は、FDAに貴社が生成した研究データの信頼性と妥当性が保証できないとの認識を抱かせる」と記した。さらにFDAは、Panexcell社が「研究における虚偽データの作成」に責任があると主張し、「貴社で実施された全研究の全研究データは却下されなければならない」と判断した。 FDAはシンクロン社に対しても同様の書簡を発行し、同社施設における調査結果を詳述するとともに、シンクロン社で生成されたデータのFDA審査に関連する懸念事項を指摘した。
FDAは、これら2つのCRO(医薬品開発受託機関)からのデータは、ブランド医薬品の安全性または有効性の判断を裏付けるため、あるいは影響を受けたジェネリック医薬品がそれぞれのブランド医薬品と生物学的同等性を持つことを実証するために、受け入れられないと結論付けた。その結果、FDAはSynchronまたはPanexcellの研究データに依存した承認済み簡略新薬申請(ANDA)について、治療的同等性評価を「BX」に変更した。 新たな「BX」評価は、FDAがジェネリック医薬品とブランド医薬品との治療的同等性を判断するには不十分であることを意味する。これらのジェネリック医薬品は承認されたままであり処方可能ではあるが、薬局での自動的な代替品としての扱いは行われなくなる。
米国食品医薬品局(FDA)が発表した「パネクセル臨床検査室およびシンクロン・リサーチ・サービスにおけるデータ完全性違反に関する質疑応答」に基づき、FDAは影響を受けた企業に対し、該当する研究を再実施するか、自主的に製品を市場から回収するかのいずれかを選択する必要があるとの立場を改めて表明した。FDAはまた、シンクロンおよびパネクセルと協力し、適切な是正措置が策定・実施されることを確保すると述べた。
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