先週、ヒトゲノム研究において重要な節目が訪れた。2000年代初頭以来、ヒトゲノム計画はヒトゲノムの地図、すなわち「配列」の改訂版を次々と発表してきた。正当に称賛される一方で、最終版でさえ不完全であり——ゲノムの約8%が未解読のまま——作業は未完に終わっていた。その後、ゲノム参照コンソーシアムらによる研究で一部の空白が埋められはしたが、 技術的限界がこれらの試みを阻んできたが、今やそれらの障壁は「技術的偉業」と評される突破により取り除かれ、ほぼ完全な配列が得られたのである。
この成果は、2022年4月1日付の特別号『サイエンス』誌に「ヒトゲノム完成」と題した6本の論文を通じて報告された。 テロメア・トゥ・テロメア(T2T)コンソーシアムが達成したこの成果により、約2億塩基対(23本の染色体を構成する遺伝子からなるDNA二重らせんの「階段」上の「段」)の追加配列決定に成功し、ヒトゲノムの100%解読に近づいた。現在問題となる部分はごくわずかとなった。 さらに、発表ではX染色体に焦点を当てたが、T2TコンソーシアムはY染色体の配列決定も行ったとされる。要するに、この取り組みはヒトゲノムの新たな改良版リファレンス配列、すなわちカタログを確立したのである。
こうした参照配列は、異なる人類集団やグループ間の多様性を研究する上で極めて重要となる。二人の人間のDNAは約99.5%同一である。逆に、あらゆる遺伝的変異が重大な結果をもたらしうる。おそらく最も興味深いのは、T2Tによって解読されたばかりの領域が、遺伝子そのものの複製や進化において重要な役割を果たしている可能性がある点だ。 実用的な観点では、この発見は神経疾患や発達障害を引き起こす遺伝的変異、あるいは潜在的な疾患誘発遺伝的変異の探索において科学者を支援するはずだ。これはひいては、医療の日常的実践と、個人が自身の医療選択をどう捉えるかという両方に変革をもたらす可能性がある。