
EU-米国データ保護枠組み(DPF)は存続が認められ、EUから米国への個人データ移転において引き続き有効である。欧州一般裁判所のこの決定は、DPFの前身である米国-EUセーフハーバーおよびEU-米国プライバシーシールドを無効とした欧州司法裁判所の過去の判決とは対照的である。
欧州一般裁判所は、DPF承認時点における米国法(特に米国データ保護審査裁判所の独立性)が提供する保護措置の十分性を根拠に判決を下した点が奇妙である。現在の事実関係に基づく判断がなされなかったのである。 DPF承認後、トランプ大統領は米プライバシー・市民的自由監視委員会(PCLOB)の民主党委員を解任したが、この解任の有効性は現在も法廷で争われている。
裁判手続きの最終的な結果は、DPFの長期的な運命に影響を与える可能性がある。欧州一般裁判所は、現在の決定を欧州委員会による承認時点におけるDPFの有効性に限定したものの、「委員会は(十分性決定の)根拠となる法的枠組みの適用を継続的に監視する義務がある」と指摘し、 さらに「…係争決定の採択時点における米国で施行されていた法的枠組みが変更された場合、欧州委員会は必要に応じて係争決定の停止、修正、廃止、またはその適用範囲の制限を決定し得る」と付言している。
この判決は、DPFに依存してEUから米国へ個人データを合法的に移転している企業にとって一定の確実性を提供するものの、その効果は短命に終わる可能性がある。第一に、欧州一般裁判所による判決が上級裁判所へ控訴される可能性がある。 第二に、欧州一般裁判所が欧州委員会のDPF継続的監視について述べた内容は、DPFが米国における特定の保護措置の存在に依存していること、またそれらの保護措置が変更されたり存在しなくなったりした場合、委員会が再評価する可能性があることを改めて認識させるものである。しかし少なくとも現時点では、米国企業は一時的に安堵の息をつけることができる。
欧州一般裁判所は、EU-米国データプライバシー枠組みに対する潜在的な脅威を退けた。9月3日の画期的な判決で、同裁判所はフランス国会議員フィリップ・ラトンブによる枠組み無効化請求を棄却し、欧州委員会が2023年に米国に対して行った十分性認定時点の事実と法に基づき、同枠組みの有効性を確認した。
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