言論の自由には、発言しないタイミングを自ら決定する自由が内在していると主張する者は多い。この論理によれば、政府は個人に対し特定の情報を発言またはその他の方法で拡散することを強制できない。 コロンビア特別区連邦地方裁判所はこの前提に同意したと見られ、最近、全米労働関係委員会(NLRB)の「掲示規則」を無効とした。この規則は、数百万の雇用主に、労働組合を結成・加入・支援する権利、団体交渉権、その他全米労働関係法(NLRA)に基づく様々な権利を列挙した通知を掲示することを義務付けるものだった。 同規則では、雇用主が掲示を怠った場合、NLRA第8条(a)(1)項に基づく不当労働行為とみなされるほか、NLRA第10条(b)項に基づく不当労働行為申立の6か月間の時効期間が停止され、さらに動機が争点となる事案では違法な動機の証拠とみなされる可能性があると規定されていた。
ワシントンD.C.巡回区控訴裁判所は、当該規則が通知掲示の不履行を不当労働行為及び違法な動機の証拠と見なすことにより、NLRA第8条(c)項に違反すると判断した。同条項は「いかなる見解、主張、意見、またはその伝達(書面、印刷物、図形、視覚的形態によるかを問わない)」の表明を、NLRAのいかなる規定に基づく不当労働行為を構成する、またはその証拠となることから保護するものである。 主張、意見、またはそれらの伝達(書面、印刷物、図表、視覚的形態によるものを含む)の表明」が、強制的でない限り(すなわち、報復や力の行使の脅威、または利益の約束を含まない限り)、NLRAのいかなる規定のもとでも不当労働行為を構成したりその証拠となったりしないことを定めている。 第8条(c)項の保護を合衆国憲法修正第1条の言論の自由保護に基づく法理と比較し、控訴裁判所は、同項が保障する「組合結成に関する非強制的発言を行う使用者の権利」には、発言しない権利、あるいは当該権利を侵害する政府メッセージの強制的普及を拒否する権利が含まれると結論付けた。
NLRBの物議を醸した掲示規則を無効としたことに加え、この判決では以下の注目すべき点が追加された:
- 裁判所は、NLRBがNLRA第10条(b)項において議会が定めた不当労働行為申立の時効期間を改正する権限を有しないと判断した。
- 補足意見において、二人の判事は、当該規則がNLRA第6条の要件である「同法の明示規定を実施するために必要」なものではなかったため、NLRA第6条に基づくNLRBの規則制定権限の有効な行使でもないと結論づけた。
- 裁判所はまず、2011年8月30日に規則が公布された時点で、NLRBが定足数を満たしていなかったことに問題があるかどうかを検討した。これは、ノエル・キャニング対NLRB事件における連邦巡回区裁判所の画期的な判決に基づき、オバマ大統領が2012年1月にNLRBに対して行った休会任命が無効であると判断されたためである。 裁判所は、規則が連邦官報事務局に提出された時点(規則公布の関連時点)において、NLRBは依然として有効な定足数を有していたため、ノエル・キャニング判決に基づき規則が無効化されるものではないと結論付けた。
- ポスター規則の有効性に関する問題は、現在、第四巡回区控訴裁判所における上訴審で係属中である。当該事件において、地方裁判所はNLRBのポスター規則は無効であるとの判決を下した。
ワシントンD.C.巡回控訴裁判所の判決は、組合結成に関する自らの見解を表明し、組織労働への支持を示唆するメッセージを強制的に伝達する義務から解放されたいと望む雇用主にとって朗報である。ただし、連邦契約業者および下請業者が、連邦契約を受注する条件として同意する、NLRA(全国労働関係法)に基づく従業員の権利に関する通知提供義務が、同判決によって免除されるわけではない点に留意する必要がある。